
Tricker's(トリッカーズ)のブーツはどれを選ぶか|ストウとモールトンの違い・サイズ感・10年履くための選び方
ストウ、モールトン、バーフォード、グラスミア。
トリッカーズ(Tricker's)のブーツには、写真では見分けにくいほど似た型が並びます。
「名前が違うのは分かるけれど、何が違うのか」——そう感じたことのある方も、多いのではないでしょうか。
ソールも何種類かあり、ラストによってサイズの出方まで変わります。
張り替えながら十年単位で履ける靴だけに、最初の一足は納得して選びたいところです。
この記事では、トリッカーズのブーツを型ごとに整理しました。
ストウとモールトンの違い、ラストで変わるサイズ、ソールの見分け方まで、順に見ていきます。
あわせて、CLUB Lightningが扱う『2nd』別注のストウもご紹介します。
長く付き合える一足を選ぶ手がかりとして、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
★編集部Pickup! トリッカーズのアイコン「ストウ」を、別注のネイビーカーフで
トリッカーズが自ら「最も象徴的なメンズブーツ」と呼ぶストウ。CLUB Lightningでは、これを『2nd』別注のネイビーカーフで展開しています。
カントリーブーツ|STOW
【Tricker's × 2nd】STOW NAVY CALF
甲を埋めるブローギングと、7アイレットぶんの高さ。カントリーブーツそのものの姿を、現在インラインでは生産されていないネイビーカーフで。標準仕様のダイナイトではなく、コマンドソールを合わせた別注です。
参考価格:152,200円(税込)
素材:カーフ/ラスト:4497S/ワイズ:5(E相当)/ソール:コマンドソール
目次
トリッカーズのブーツとは|泥の上を歩くために生まれた形

Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
トリッカーズは1829年、英国イングランド中部のノーサンプトンで創業しました。
現存する英国の靴メーカーとしては、最も古い一軒に数えられます。
「カントリーブーツ」という呼び名は、意匠の分類ではなく、履かれていた場所を指しています。
バーフォードやグラスミアの起源は1840年。
買っていたのは、舗装のない土地を一日中歩く地主や農場主、そして狩猟に出る人たちでした。
だから求められたのは、軽さでも細さでもありません。
水が入らないこと、泥に沈まないこと、簡単には壊れないことです。
甲に並ぶ無数の小さな穴——「ブローギング」も、その延長線上にあります。
湿地を歩いて靴の中に入った水を抜くための穴だったと伝えられています。
グラスミアに至っては第二次大戦中に英国の兵士が履き、いまも農家に支持されている型です。
創業から現在までの沿革、グッドイヤーウェルテッド製法の仕組み、短靴を含めたブランド全体については 「トリッカーズとは|歴史・定番モデル・サイズ感・経年変化まで」 でまとめています。この記事では、ブーツだけをじっくり見ていきます。
ブーツだからこその構造|ストームウェルト・ハーフベローズタン・7アイレット
トリッカーズのブーツには、同じブランドの短靴には見られない仕掛けが3つ入っています。
タンの縫い方、ウェルトの断面、そして紐穴の数。
いずれも水と泥に対処するためのもので、順に見ていくと、なぜこの姿なのかが分かってきます。
ハーフベローズタン|甲から水を入れない
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
紐を緩めて舌革(タン)をめくると、その両脇が本体と縫い合わされているのが分かります。
これが「ハーフベローズタン」です。
折り畳んでブーツに取り付けることで、水に強いシールを作ります。
短靴の場合、タンは独立していることが多く、甲の隙間から水が入ります。
ブーツはそこを塞いである。
足の甲まで水に浸かる場所を歩く、という前提で作られているということです。
ストームウェルト|アッパーとソールの継ぎ目を塞ぐ

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
靴を横から見たとき、アッパーとソールの境目に細い革の帯が回っています。
これがウェルトです。
トリッカーズのブーツはこのウェルトの断面が立ち上がっていて、アッパーとの間に段差を作らない。
アッパーとソールのあいだに、もう一段の水に強いシールを与える構造です。
普通のウェルトが平らな板だとすれば、ストームウェルトは縁の立った皿に近い。
雨が降ったときに、水が溜まって染み込む余地を減らしています。
7つのアイレット|高さが担っているもの
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
トリッカーズのカントリーブーツは、紐を通す穴が7つあります。
ストウ、モールトン、バーフォード、グラスミア。
この4型に共通する特徴です。
7つという数は、くるぶしを越えて足首を包む高さに対応しています。
数が多いぶん、締め具合を細かく調整できる。
足首まわりを緩めに、甲をしっかり、といった履き方ができるのは、この構造があるからです。
この高さと頑丈な作りは、ブローギングと並ぶトリッカーズらしさとされています。
なお、トリッカーズのブーツは1足あたり260の工程を経て作られ、完成までに最低8週間かかります。すべてノーサンプトンの工場で、グッドイヤーウェルト製法によって作られます。
トリッカーズのブーツを型で見分ける
トリッカーズのブーツを一覧にしました。
ラスト(木型)、ワイズ(幅)、標準のソール、甲の意匠。
この4つを見比べると、幅とソールだけが違う型と、作りから違う型があることが分かります。
※ モデル名をクリックすると、各モデルの解説へ移動します。
| モデル | 分類 | ラスト | ワイズ | 標準ソール | 甲の意匠 | サイズの傾向 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| STOW ストウ |
カントリーブーツ | 4497S | 5(標準) | ダイナイト /ダブルレザー |
フルブローグ 7アイレット |
UKサイズ通り |
| MALTON モールトン |
カントリーブーツ | 4497S | 6(幅広) | コマンド | フルブローグ 7アイレット |
幅の余裕が不要ならハーフサイズ下げが推奨 |
| BURFORD バーフォード |
カントリーブーツ | 4497S | 5(標準) | ダイナイト /ダブルレザー |
プレーントゥ 7アイレットのダービー |
UKサイズ通り |
| GRASSMERE グラスミア |
カントリーブーツ | 4497S | 6(幅広) | コマンド /リッジウェイ |
トゥキャップ 7アイレットのダービー |
UKサイズ通り |
| HENRY ヘンリー |
カントリーディーラー (サイドゴア) |
4444 | 5(標準) | コマンド | ブローギング サイドゴア |
ハーフサイズ大きめに出る |
| POLO ポロ |
チャッカブーツ | W2298 | 5(標準) | ウルトラフレックスレザー /ダイナイト |
2〜3アイレット ラウンドトゥ |
UKサイズ通り |
※ トリッカーズ公式サイト(https://trickers.com/)の各製品ページおよびフィットガイドの記載に基づきます。同じモデルでも、品番によって革やソールの仕様が異なる場合があります。ワイズは、幅広の6にあたる品番には製品詳細に「6 Fitting」と明記されるため、その表記がないものを標準の5としています。
カントリーブーツ|ストウ・モールトン・バーフォード・グラスミア
4型とも、ラストは4497S。
7つのアイレットも、ハーフベローズタンも、ストームウェルトも共通です。
分かれるのは、つま先の意匠と、幅と、ソールの3点になります。
STOW(ストウ)

Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
カントリーブーツの代名詞とされる型です。
ラストは4497S、ワイズは5。
甲全面に打たれた重いブローギングと、7つのアイレット。
標準のソールはダイナイトが主流で、ダブルレザーを選ぶこともできます。
もともとカントリーブーツとして作られ、いまでは野原でも街でも履かれています。
MALTON(モールトン)

Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
ストウとほぼ同じ顔をしていますが、公式の標準カタログ仕様ではワイズ6(幅広)の設定になります。
ソールはコマンドが標準仕様。
厚みのあるブロックパターンで、足元がしっかり重くなります。
ストウとの違いは、「ストウとモールトンは何が違うのか」でまとめて扱います。
BURFORD(バーフォード)

Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
ブローギングを持たない、プレーントゥの7アイレットダービーブーツです。
ラストは4497Sで、ストウと同じ。
つまり足を入れた感覚は近く、見た目だけが控えめになります。
トリッカーズの意匠は好きだけれど、あの穴の多さが仕事着に馴染まない。
そう感じる方には、この型が答えになることがあります。
ハーフベローズタンもストームウェルトも入っているので、機能を削った簡易版ではありません。
GRASSMERE(グラスミア)

Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
より厳しい条件にも対応する、洗練されたカントリーブーツです。
つま先に横一文字のトゥキャップが入った7アイレットのダービーブーツ。
ワイズは6。
ソールは品番によってコマンドとリッジウェイがあります。
冒頭で触れたとおり、第二次大戦中に英国の兵士が履き、いまも農家に支持されている型です。
ズグレインという、粒立ったシボのある革が使われることがあります。
耐久性と耐水性の高い牛革です。
4型のなかでは、最も現場寄りの一足です。
サイドゴア|ヘンリー
脱ぎ履きが速いだけでなく、紐がないぶん甲まわりがすっきりして、スラックスの裾にも収まります。
ただし、締め具合は後から調整できません。
サイズは、むくんで少し大きくなる夕方に実寸を測っておくと確かです。
HENRY(ヘンリー)

Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
紐ではなく、両サイドのゴアで履くタイプです。
分類は「カントリーディーラーブーツ」。
ブローギングはカントリーブーツと同じように入っていて、ソールはコマンドが合わせられます。
気をつけたいのがラストです。
ヘンリーは4444を使っており、トリッカーズ自身が「ゆとりのある作りで、通常は半サイズ大きく出る」と明記しています。
ここはサイズ感の章でもう一度触れます。
チャッカ|ポロ
チャッカブーツは、くるぶし丈でアイレットが2〜3個の、カントリーブーツより軽く、丈も控えめなブーツです。
POLO(ポロ)

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
ラストはW2298、ワイズは5。
UKサイズ通りで、トゥは丸みのある形です。
ソールはダイナイト。
厚みが控えめなぶん、カントリーブーツに比べて足元が軽く見えます。
スラックスとも収まりが良く、季節を選びません。
ただ、トリッカーズらしさをまず確かめたいのであれば、やはり紐で締める7アイレットのブーツがおすすめです。
ストウとモールトンは何が違うのか
ストウ
|
モールトン
|
Tricker's公式オンラインショップ GMT TOKYO(https://www.gmt-tokyo.com/)より
トリッカーズのブーツを調べていくと、最後まで残る疑問がここだと思います。
写真を並べても、見分けるのは難しいところです。
甲のブローギングも、7つのアイレットも、丸いトゥも共通しています。
製品ページを1型ずつ確認すると、差は次の2点に絞られました。
公式表記で確認できた、ストウとモールトンの違い
1.ワイズ(幅)
ストウ = 5(標準)/ モールトン = 6(幅広)
2.標準のソール
ストウ = ダイナイト、またはダブルレザー / モールトン = コマンド
共通しているもの
ラストはどちらも 4497S。フルブローグの意匠、7つのアイレット、ハーフベローズタン、ストームウェルト。
ラストが同じ、というのが要点です。
つまり足を入れたときの土台の形は共通していて、そこに幅の設定とソールの違いが乗っている。
「別のブーツ」というより、「同じブーツの、違う仕立て」と捉えると考えやすくなります。
ワイズ5と6は、どのくらい違うのか
ワイズ5は標準的な幅の足に、ワイズ6は幅広の足に向きます。
国際的な対応でいえば、5が英国のF、米国のD。
6が英国のG、米国のEにあたるという説明です。
そのうえで、モールトンの製品ページにはこう書かれています。
「このラストは標準の5フィッティングより明らかに幅広なので、余分な幅を必要としないなら、通常のUKサイズから少なくとも半サイズ下げることを推奨します」。
幅広だからワンサイズ上げる、ではありません。
幅が余っているぶん、長さで詰める、という考え方です。
ここは直感と逆に働くので、覚えておくと役に立ちます。
ダイナイトとコマンド、足元の印象が変わる
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
もうひとつの差はソールです。
ダイナイトは、円形の突起が規則的に並んだラバーソール。
厚みが控えめで、側面から見たときのラインが締まります。
コマンドは山型のブロックパターンで、厚みと重さがある。
コマンドは、あらゆる地形で耐久性とグリップを発揮するソールです。
同じアッパーでも、ダイナイトなら街寄り、コマンドなら山寄りに見える。
ストウとモールトンの見た目の差は、実のところソールの差である部分が大きいということです。
では、どちらを選ぶか
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
足幅にゆとりが欲しい、あるいは足元にしっかり重さを置きたい。
そう考えるならモールトンが向きます。
標準的な幅で、スラックスやチノとも合わせたい。
それならストウが収まりやすいでしょう。
ただ、この2型は幅とソールの組み合わせが品番ごとに変わることがあります。
気になる一足を見つけたら、モデル名だけで判断せず、その品番のワイズとソールを確かめてみてください。
そこさえ押さえれば、名前の違いに悩む必要はなくなります。
CLUB Lightningで手に入るトリッカーズのブーツ
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
CLUB Lightningでは、いま見てきた4497Sのストウを扱っています。
『2nd』が別注した一足です。
先ほど確認したとおり、ストウの標準ソールはダイナイト、またはダブルレザーでした。
この別注は、そこにコマンドソールを合わせています。
ストウの顔に、モールトンのソール。
ワイズは5のまま、標準的な幅を保っています。
そして革は、定番の黒でも茶でもなくネイビーカーフ。
商品ページによれば、現在インラインでは生産されていない革です。
【Tricker's × 2nd】STOW NAVY CALF
この一足の面白さは、引き算と足し算が同時に効いているところです。
黒や茶に比べると、ネイビーは色の強さが一段落ちます。
無骨な形を保ったまま、色の主張だけが下がります。
そのぶんを、コマンドソールの厚みが足元に戻している。
静かにしすぎない、という判断がソールに現れています。
合わせるパンツを選ばない色でもあります。
デニム、軍パン、スラックスとの具体的な組み合わせは、コーディネートの章でご紹介します。
インソールには「2nd」の刻印。
箱もネイビーで統一されたトリッカーズのボックスが付きます。
- 参考価格:152,200円(税込)
- ラスト:4497S
- ワイズ:5(E相当)
- ソール:コマンドソール
- サイズ:UK5.0(23.5cm)〜UK11.0(29.5cm)
- 素材:カーフ
サイズの選び方は「トリッカーズのブーツのサイズ感」の章で詳しく扱います。ラストが4497Sなので、UKサイズ通りで考える型です。
なお、同じネイビーカーフの短靴(BOURTON)については こちらの記事 で紹介しています。
ソールで選ぶ|ダイナイト・コマンド・リッジウェイ・ダブルレザー
トリッカーズのブーツで実際に選ぶことになるソールは、おおむね次の4種です。
同じアッパーでも、底が変わると印象がはっきり変わります。
足元の見た目を決める要素であり、履ける場所を決める要素でもあります。
ダイナイト

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
円形の突起が並んだラバーソールです。
最初に設計されたのは1910年。
100年以上使われ続けている形ということになります。
厚みが控えめで、横から見たときのラインが締まって見えます。
雨の日にも履けて、街でも重すぎない。
ストウの標準ソールがこれである理由が分かります。
コマンド

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
山型のブロックパターンが刻まれた、厚みのあるラバーソールです。
トリッカーズが「元祖カントリーブーツソール」と呼ぶソールで、あらゆる地形で耐久性とグリップを発揮します。
足元に重心が生まれるぶん、上半身が軽く見えます。
デニムや軍パンとの相性が良いのは、この重さのおかげです。
なお、履き始めには短い馴染ませの期間が要ります。
リッジウェイ

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
横方向の細かい溝が並ぶラバーソールです。
グラスミアには、よりしっかりしたグリップのためにこのソールが合わせられています。
コマンドほど主張せず、ダイナイトよりは食いつく。
その中間にあたる選択肢です。
ダブルレザー

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
革を2枚重ねたソールです。
トリッカーズは伝統的に、2層のオークレザーソールを使ってきました。
そのうえで、ブーツをよく濡らす人の多くはスタッド付きのダイナイトを選ぶ、とも案内しています。
作り手自身が、用途によって使い分けを勧めているということです。
革の断面が見える美しさは、ラバーでは代えがきかないところ。
晴れた日の一足として持つなら、選ぶ価値のあるソールです。
迷ったときの考え方
編集部としての推奨をひとつ挙げるなら、1足目はラバー系です。
ダイナイトかコマンドか、リッジウェイか。
履ける日が限られないほうが、結果として履く回数が増えます。
そして履いた回数だけ、その靴は自分のものになっていきます。
そのうえで、街での軽さを取るならダイナイト、足元の存在感を取るならコマンド。
まずはそこを見てみてください。
トリッカーズのブーツのサイズ感|ラストごとに答えが違う

Tricker's公式サイト(https://trickers.com/)より
「トリッカーズは大きめに出る」という話を目にしたことがあるかもしれません。
「いや、UKサイズ通りだった」という話も同じくらい見つかります。
どちらも正しく、どちらも足りていません。
答えはラストによって変わるからです。
まず、ラストを確かめる
トリッカーズのフィットガイドは、次のように整理しています。
- 4497S(ストウ、モールトン、バーフォード、グラスミアなど)……UKサイズ通り
- 4444(バートン、ヘンリー、イルクリー、ケズィックなど)……半サイズ大きく出る。UK8の方はトリッカーズの7½を選ぶ
- W2298(ポロなど)……UKサイズ通り
つまり「トリッカーズのブーツ」とひとくくりにできません。
紐で締めるカントリーブーツの多くは4497Sで、ここはUKサイズ通り。
一方、サイドゴアのヘンリーは4444なので、半サイズ下げて考える。
同じ棚に並んでいても、選び方が別だということです。
次に、ワイズを確かめる
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
トリッカーズのワイズは、5が標準、6が幅広です。
5は英国のF・米国のD、6は英国のG・米国のEに対応します。
幅広の6を選ぶ場合、長さの扱いに注意が要ります。
前の章で触れたとおり、余分な幅を必要としないなら少なくとも半サイズ下げる、というのがトリッカーズの案内です。
幅が広いぶん足が前に滑るので、長さで止める、という理屈です。
ソックスの厚みを決めてから測る
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
ブーツは短靴と違い、厚手のソックスと組み合わせる機会が増えます。
秋冬にウールの厚手を履くつもりなら、その靴下を履いた状態で足の実寸を測ってください。
薄手で合わせた一足に厚手を入れると、甲が当たります。
逆に、通年で履くつもりなら薄手を基準にして、寒い時期はインソールを抜くという手もあります。
どちらにしても、先にソックスを決めてから靴を決める。
順番を逆にすると、あとで調整がききません。
最初の数回は硬い、を前提に選ぶ
グッドイヤーウェルト製法の靴には、アッパーと中底のあいだにコルクが詰められています。
新品のうちはこれが硬く、革も張っている。
最初の数回は「こんなに硬いものだったか」と感じるかもしれません。
トリッカーズはこう書いています。
「私たちのフィットはとても寛容で、短いあいだに、新しい靴やブーツはあなた個人の足の形に馴染んでいきます」。
コルクが沈み、革が曲がる場所を覚えていきます。
余裕を見て大きめを選ぶと、馴染んだ頃にはさらに緩くなります。
実寸に素直に合うサイズを基準にしたほうが、履き込んだあとに収まりやすいでしょう。
トリッカーズブーツのコーディネート
トリッカーズのブーツは、意匠の強い靴です。
ブローギングも、7アイレットの高さも、丸いトゥも、それぞれが主張します。
だからこそ、何を穿くかで見え方が大きく変わります。
ここでは、ネイビーカーフのSTOWを例に、3本のパンツとの合わせ方を見ていきます。
色の選び方と裾の収まりが分かると、手持ちのボトムスでどこまで使えるかが見えてきます。
デニムと合わせる
ブルーデニムに、深いネイビーのブーツ。
同系色でつなぐ、ワントーンの合わせ方です。
色が地続きになるぶん、脚から足元までの線が途切れません。
そのうえで、重いブローギングとコマンドソールが、足元にだけ立体感を残します。
いつものデニムスタイルを崩さずに、表情を一段上げられる組み合わせです。
裾は、靴の上に一度落として少し溜めるくらい。
ロールアップするなら一折りか二折りまで。
7つのアイレットが見えて、足元が締まります。
ミリタリーパンツと合わせる
カントリーブーツの力強さは、軍パンとよく合います。
ただ、靴の色によって仕上がりの印象がかなり変わります。
ブラウンを合わせると土の印象が前に出て、ブラックだと硬さが強く出ることがあります。
ネイビーは、ミリタリーの力強さを残したまま、足元に英国靴らしい品を足してくれる色です。
オリーブやカーキとは正面からぶつからないので、色の主張が二重になりません。
裾幅のあるパンツなら、ブーツの甲に軽く乗せるくらいが収まります。
スラックスと合わせる
端正なグレーのスラックスに、ネイビーのブーツ。
意外に思われるかもしれませんが、これが収まります。
裾から覗くブーツの存在感が、シンプルな組み合わせに奥行きを足してくれます。
黒の革靴ほど重くならず、それでいて英国靴らしい品格は残る。
スラックスに合わせるなら、裾はハーフクッションを目安にすると足元がすっきりします。
裾は隠すか、見せるか
ブーツ丈を完全に隠す合わせ方もあります。
足元が重すぎると感じる日には有効です。
ただ、トリッカーズの場合はブローギングの入った甲まで隠してしまうと、何を履いているのか分からなくなります。
目安は、裾の幅が靴の甲の厚みと釣り合うあたり。
細すぎる裾を乗せると靴だけが前に出て、太すぎる裾で覆うと意匠が消えます。
ストレートから、ややテーパードくらいのシルエットが扱いやすいところです。
ネイビーという色について
黒と茶が定番であることは、あらためて書くまでもありません。
そのうえで、ネイビーという選択肢に触れておきます。
ネイビーのブーツは、黒ほど硬くならず、茶ほど主張しません。
デニムとは同系色ですが、革の艶があるぶん、生地とは違う質感になります。
ここまで見てきたとおり、デニムにも軍パンにもスラックスにも収まる色です。
定番の2色をすでにお持ちの方にとっては、役割の重ならない3足目になります。
履き込んだ先|経年変化(エイジング)とオールソール交換

トリッカーズのブーツが本当に面白くなるのは、買った日からしばらく経ってからです。
皺の入り方、色の沈み方、そして減ったソールを張り替えて履き継ぐという選択。
選んだあとに何が起きるのかを知っておくと、選ぶときの目も変わってきます。
経年変化は、どこから出るか
最初に変わるのは、屈曲部です。
足を踏み出すたびに甲が曲がり、そこに皺が入ります。
数週間から数ヶ月で、はっきりと線が見えてきます。
この皺は、その人の歩き方が刻まれたものなので、同じ形にはなりません。
次に、色と艶。
手入れを重ねた場所から深みが出て、擦れる場所は薄くなります。
これは年単位で進む変化です。
そして中底。
コルクが足の形に沈み込み、履き口の当たりが柔らかくなります。
買った日には硬かった一足が、履いた回数だけ自分の足に近づいていく。
同じモデルでも、履き手によって違う形に育ちます。
手入れは、ブラシ一本から始まる

特別な道具から揃える必要はありません。
脱いだその場で、馬毛のブラシを一往復かける。
この習慣があるかどうかで、5年後の状態が変わってきます。
数ヶ月に一度、乳化性のクリームを薄く入れて、豚毛のブラシで馴染ませる。
雨に濡れた日は、陰干しして完全に乾かしてから手入れをする。
ブーツはソールの縁に泥が溜まりやすいので、ウェルトの際まで払っておくと長持ちします。
減ったソールは、張り替えて履き継ぐ
ラバーのブロックが浅くなり、踵の角が落ちてきたら、オールソール交換の時期です。
アッパーを傷めずにソールだけを外して付け替えられるのは、グッドイヤーウェルト製法だからこそできること。
トリッカーズは自社の靴を「100%修理可能」と明記し、修理サービスを案内しています。
1足あたり260の工程を経て、最低8週間かけて作られる靴が、履き潰して終わりではないということ。
作り方と直し方が、同じ考えの上に乗っています。
一度きりの買い物ではなく、十数年単位の付き合いが前提になっている。
この価格をどう捉えるかは、その時間をどう見積もるかで変わってきます。
トリッカーズのブーツについてよくある質問

ブーツを選ぶ段で寄せられることの多い質問をまとめました。
Q. ストウとモールトン、最初の一足はどちらが良いですか?
公式表記で確認できた違いは、ワイズとソールの2点です。
足幅にゆとりが欲しい、足元に重さを置きたいならモールトン。
標準的な幅で、街での収まりも取りたいならストウ。
ラストはどちらも4497Sで共通しているので、履き心地の土台は同じです。
Q. 普段のスニーカーのサイズから、どう選べばいいですか?
まずUK表記とcmの対応を確認してください。
そのうえで、ラストを見ます。
4497SはUKサイズ通り、4444は半サイズ大きく出ます。
スニーカーは製法上ゆとりを持たせた設計が多いので、同じ数字で置き換えず、cmの実寸を基準にしたほうが確かです。
Q. 雨の日や雪の日に履いても大丈夫ですか?
ダイナイト、コマンド、リッジウェイといったラバー系のソールであれば、雨天でも履けます。
ハーフベローズタンとストームウェルトが、甲と継ぎ目からの水を抑えてくれます。
ダブルレザーソールは水を吸うので、雨の予報が出ている日は別の一足に譲るほうが無難です。
濡れてしまったときは、直射日光を避けて乾かし、乾ききってから手入れに入ってください。
Q. コマンドソールは街で浮きませんか?
ダイナイトと比べれば厚みも主張もあります。
ただ、トリッカーズのアッパー自体がもともと重い意匠なので、コマンドが乗ることで全体の釣り合いが取れるという見方もできます。
スーツに合わせるなら軽いソール、デニムや軍パンならコマンド。
手持ちのボトムスから逆算してみてください。
Q. ソールが減ったら張り替えられますか?
できます。
メーカー自身が「100%修理可能」としています。
アッパーが健在であるかぎり、ソールは入れ替えながら履き継いでいけると考えて差し支えありません。
Q. 経年変化はどのくらいで見えてきますか?
頻度によりますが、甲の屈曲部に入る皺はかなり早い段階から見えてきます。
色の沈みや艶の出方、中底が足の形に馴染むところは、年単位で進む変化です。
まとめ
Lightning公式サイト(https://club-lightning.com/)より
今回の記事では、トリッカーズのブーツについてご紹介しました。
お好みのモデルは見つかりましたでしょうか。
似た顔に見えていた型も、ラストとワイズ、そしてソール。
この3つで見比べると、自分に合う一足が絞れてきます。
そして、どの型を選んでも作りは変わりません。
1足あたり260の工程と、最低8週間。
甲から水を入れないタンと、継ぎ目を塞ぐストームウェルト。
ソールが減れば張り替えて、また履ける。
決して安い買い物ではありませんが、十年単位で付き合える一足です。
長く付き合えるブーツが、あなたの足元に見つかりますように。















